●園芸質問箱

はじめに
 植物を育てるって、慣れてしまうと何でもないけど、結構大変なものです。何せ相手は自然、うちでこうだからといっても、別の環境では必ずしも同じようには行かないこともあります。本にあるとおりにやってみても、ダメな時はダメです。うちの場合、ベランダ園芸などとは違って、農家の露地栽培ゆえ、普通の園芸というよりは、プロの栽培農家のものに近いものになってしまう部分(実際そういうものもあるんですが)もあるかと思います。自分の経験した、知りうる限りの範囲で答えていこうかと思いますので、知りたいことや聞いてみたいことなどありましたら、BBSやMAILにて教えて戴ければと思います。また、これはおかしいんじゃないの?という点についても、連絡戴けるとありがたいです。所詮は死ぬまで勉強という世界ですから。



Q.温州みかんが去年たくさん成ったのに、今年は花が咲いていないのは何故?
Q.去年はたくさん実がついたブラックベリーに、今年は花が咲かないのですが
Q.何れアヤメかカキツバタっていうけど違いは何?
Q.ドクダミには毒があるんですか?

※ここで見つからなかったご質問については、ニフティの園芸フォーラムもご覧ください。スペシャリストが揃っています。


Q.温州みかんが去年たくさん成ったのに、今年は花が咲いていないのは何故?
 A.柑橘類の中には、成り年と不成り年(当たり年とはずれ年、表年と裏年ともいう)を交互に繰り返す、いわゆる隔年結果するものが多いです。原因は実の成らせすぎではないでしょうか。現に私も昨年は成らせすぎてしまい、今年は花をあまり付けていません。温州みかんや柚子などで隔年結果の傾向が強いようです。単純にいうと花芽がついたところには実が成るわけですが、実を成らせると翌年の花芽がつかないということになります。例えば温州みかんなら、葉っぱ30枚あたりに実を1つという具合で実を減らす(摘果や摘蕾をする)のが良い方法ですが、何より良いのは、以下の方法で剪定することでしょう。
  1. 不成り年には、この時期(6月上旬)までに伸びが止まる枝を多く確保して、夏以降の間延びする枝は翌年の3月頃までに減らしていくような剪定をしていく。
  2. 成り年には、前年に確保しておいた枝(結果母枝といいます)を切り返し主体に剪定して、摘果や摘蕾の手間を省くとともに、翌年のための花芽を確保する。これを間引き主体にすると、翌年の花芽がさらになくなることになる。
 不成り年の場合のポイントは、春先に伸びた枝のうち、枝の断面がなるだけ丸く(四角や星形は葉と葉の間隔が広いので実を付けないことが多い)ずっしりした枝を残すことです。そうすることで、翌年の花芽が確保出来ます。成り年の場合のポイントは、花を多くしないことです。切り返し剪定が難しいなら(ついつい間引いてしまうと、結果的に葉っぱが減るので、翌年の花芽を作れない。私は良くこれで失敗する)、少々面倒でも、花や実をしごき落とすのが手っ取り早いかもしれませんね。


Q.去年はたくさん実がついたブラックベリーに、今年は花が咲かないのですが
 A.ブラックベリーは、木イチゴの仲間ですから、バラ科の低木落葉果樹ということになります。この仲間は、バラの場合と同じで、新しい枝(シュートやサッカー)に順次世代交代していきます。ですから、2〜3年もすると古い枝には多くの花を付けなくなります。また、秋口などに根元にカミキリムシの幼虫(テッポウムシ)が入っていて、かろうじて枝が生きている場合もあります。こういう時はやはり花をつけないか、付ける場合であっても少し遅くなってからというケースが多いようです。今年のうちのブラックベリーのうち1本は、テッポウムシにかじられていたようで、枯れ込んでいました。普通は根元から新しいシュートがでてくるはずなので、これを大事に育てて、翌年のメインの枝にするようにしてみましょう。
 同じバラ科でも、ブッシュにならず木立になるタイプの果樹(桃や梨、サクランボなど)では、幹があるので根元からでてくるシュートは「ひこばえ」と呼ばれ、ともすると台木がでてくることもありますから、これは取り除きましょう。


Q.何れアヤメかカキツバタっていうけど違いは何?
 A.実は私も良く知らなかったんですよ。アヤメが花びらの付け根に網目模様があるということと、カキツバタが湿地を好むことぐらいは知っていましたけどね。で、先日菖蒲園に行った折りにはっきりしましたんで、比較してみましょう。
  1. 花期は、アヤメ→カキツバタ→ハナショウブの順である。品種にもよるが10日から半月ぐらいずつずれる。アヤメはゴールデンウイーク頃から、ハナショウブは梅雨開け前後の時期あたりまで開花する。
  2. カキツバタは湿地(というより池の畔。水深20〜30cmぐらい)にて栽培する。アヤメは畑で、ハナショウブはやや湿地(水田跡地など)で育てる。
  3. アヤメの名前は、剣状の細い葉が縦に並んでいる様子が文目(あやめ)模様に似ているところから来ている。カキツバタはその昔、染色に使われた際に、擦りつけて染めたことから「書き付け花」が転訛したものといわれている。ハナショウブは葉が菖蒲(しょうぶ)に似ているところからいわれる。
  4. 漢字では、アヤメは菖蒲・青弥芽、カキツバタは杜若・燕子花、ハナショウブは花菖蒲。菖蒲と書いて、アヤメともショウブとも読ませることが混乱させていますね。
 実際のところ、見分けは難しそうですが、花びらの付け根の部分の色と模様で区別できるかなと思います。すなわち、花びらの付け根に紫色の網目模様があるのがアヤメ、花びらの付け根の部分には模様がなくクリーム色から白いのがカキツバタ、ハナショウブは花自体がやや大きめで、花びらの付け根の部分には模様がなくて中心に行くほど濃い黄色を呈し、ほかに大きな特徴としては葉の中心の脈が隆起しています。


Q.ドクダミには毒があるんですか?
 A.ドクダミは、悪臭があるので「何か毒でも含んでいるのではないか」 ということから、ドクダメ(毒溜め)と呼ばれ、ドクダメがドクダミに転じたという説と、毒にも痛みにも効くということから「毒痛み」がドクダミに転じたという説があるそうです。ドクダミ自体には毒はないようです。
 嫌われ者のドクダミですが、はれ物に対して塩もみしたドクダミを張っておくと、不思議と腫れがひきますし、煎じて飲むと便秘、利尿、整腸、動脈硬化の予防などに効果があるそうです。
 変わったところでは、ドクダミの葉を天ぷらにすると意外と臭みがなくて良いらしいですが、まだ試したことはありません。



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